ISCA初代名誉校長 Jimmy Choo氏 クリエイティブの力で福島の震災復興支援
2014年4月18日
世界中のセレブリティやエディター、モード関係者から高い支持を得ているJIMMY CHOOブランド創設者のジミー・チュウ氏が来日し、福島県福島市で開催された地域伝統工芸品の震災復興支援イベントに出席しました。
このイベントの講演で「従来からあるクラフトに新しいインスピレーションとコンセプトを与えれば福島の産業は世界をも目指せる」と熱く語ったジミー氏の姿と福島の伝統工芸品を用いた彼の作品は押しかけた海外メディアにより、瞬く間に世界に発信されました。
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2011年3月11日、東北地方を中心に未曾有の被害を引き起こした大震災から今年で10年。
大震災の衝撃は瞬く間に世界中に広がり、各国・地域から救助隊、支援物資、寄付金、そして数えきれないほどの温かいメッセージが日本に届けられました。
ISCA(通称イスカ:International School of Creative Arts)の初代名誉校長であるJimmy Choo氏も東北地方が受けた不幸に心を痛めた一人です。
あのジミー・チュウ氏がなぜ突然福島に?
事の発端は2013年10月。
弊社芙蓉エデュケーションズよりUCL(ロンドン大学:University College London)に進学し、大学院課程修了後に実家の事業を継ぐために福島県須賀川市に戻っていた橋本さんとの久しぶりの再会から始まります。
その日も弊社スタッフと他愛ない近況報告をしあった後、出たトピックが「福島のこれから」。
国からの援助とかボランティアの善意だけに頼っているだけでは福島はいつまでたっても自分の足で前に進めないと思う、という橋本さんの言葉に対してスタッフが「やはり地元産業の活性化がキーポイントじゃないか?」と発言。
(以下、2人の会話)
― 大体、キミんとこの名産品って何があるんだ?
「バカにしないでくださいよ。色々あるんですから。たとえば、会津塗でしょ」
― ああ、前にもらったあのコーヒーカップね、キミが福島空港で買ったっていうやつ。
「もう、それだけじゃありませんて。どうせ知らないかもしれないけれど、木綿やシルクだって上質で有名なんですから!」
― で、その材料で何を作ってるの?
「まぁ例えば財布とか巾着とか、そういった小物ですかね。伝統工芸品ですから、そういった感じのものになります」
― う~んん、そういったものって売れても利益幅が小さいよね。どこの地方でもやってることだし、どこの地方でも作れるものだと今以上に売れ行きが増加するってのは期待できないでしょ。木綿のがまぐちとか草履とか、はっきり言って若者はそんなに欲しくないよね。年寄りだって何個も欲しがらないと思うよ。
「確かに。若い人もあまり目を向けてくれないし」
― 仕事柄のせいもあるけど、塗り物ときたら食器で木綿ときたらちゃんちゃんこという発想を変えないといけないと僕は思うんだよ、ほら、たとえばセントマーチンズのファッションてさ、デザインもマテリアルもめちゃくちゃ自由でしょ。エーッみたいな素材を使って何だこりゃみたいなデザインで毎回世界のメディアをびっくりさせている。ま、エーッみたいなものばかり作っても福島とロンドンは同列にできないけどさ、何て言うか、新しいコンセプトとか発想する力が必要だと思うんだよ。
「ウチみたいな地域ではそういうCHANGEはなかなか難しいんですよ」
― そうだね、「八重の桜」でも頑固一徹の忠義者が目立っていたもんな。でもさ、福島県の全県民が昔気質の頑固者ってわけじゃないだろ?キミのように地方とか国内とかの殻を破ってもっと広い世界に繋がる産業を興したいと考えている若者も結構いるんじゃないの?何かインパクトのあるイベントをがつんと立ち上げて福島の若者にエールを贈るってのはどうだろ?
「たとえば?」
― オレには考えがある。
スタッフが思い浮かべたのがジミー・チュウ氏。
ジミー氏とは2009年にロンドン郊外に設立したISCA(イスカ: International School of Creative Arts)の名誉校長を引き受けてもらったとき以来からの友人です。
邂逅から3ヵ月後の2014年2月。
橋本さんと弊社スタッフはジミー氏に会うためにマレーシアに飛びました。
橋本さんのバッグには地元を代表する会津木綿や川俣特産のシルクが何種類も詰め込まれていました。
ジミー氏のインスピレーションとアイデアによって新しいフォームに生まれ変わるために。
世界の有名人であるジミー氏の名前が福島ではいささか認知度が低かったのはちょっと計算違いであったが、橋本さんのひたむきでがむしゃらな暴走のおかげでジミー氏の福島行きも実現し、当日のジミー氏の自叙伝をおりまぜた講演も来場者の心をいたく揺すぶりました。
イベントではジミー氏の新作発表の他に会津木綿や川俣シルクといった福島の伝統産業のPRが行われました。また、ジミー氏の故郷であるマレーシアと福島の空港を活用した2国間の人材交流や若手クラフトマンの育成も提案されました。
みなさん、誤解しないでくださいね。
ジミー氏は自己宣伝や新作発表の目的で福島行きを決行したのではありません(そういうことをする必要が全くない人ですから)。
彼は福島が受けた不幸に心を痛め、福島が元気になるための手段の一つとして「クリエィティブは復興の源」というメッセージを伝えに来たのです(彼の場合、具体的にそれは「靴」という形で表現されましたが)。
「クリエィティブを育てることで、木綿やシルクといった伝統的な素材に新しいアイデアとインスピレーションを吹き込み、世界に通じる新しい製品を作り出すことができる」というアーテストのメッセージが福島の方に何となくでも伝わっていてくれたらいいのですが。
甚大な被害をもたらした東北大震災。
何かの形で長く続く復興サポートの一翼を担いたいと思っていたジミー・チュウ氏と地元に新しい産業の風を吹かせたいと願っていた橋本さんの夢がこうして実現した次第です。
イベントはほんの始まりに過ぎません。
本当のチャレンジは今ここから始まるのです。
★メディア掲載記事(ほんの一部)★
AFP通信の記事は世界中に配信され、フランス、イギリスはもちろんのこと南米コロンビアまでこのイベントのニュースは伝わりました!
東日本大震災、福島、ジミー・チュウに対して世界の関心が高い証拠ですね。
AFP
ジミー・チュウが福島で特別講演、地元素材を使った靴も公開
The Guardian
Jimmy Choo boosts Japanese artisans with shoes made of Fukushima fabrics
WWD Japan
ジミー・チュウが震災復興支援イベントに参加 福島の伝統織物を用いた靴を発表
FASHIONSNAP.COM
ジミー・チュウの「福島コレクション」が一般公開